ラムラム王は東京から九万マイル、ロンドンから九万マイルのエッペ国という国の貧乏な珊瑚削りの仕事場で生まれた子。長い長い名前を持ち、略してラムラム王。七歳にして変身の術を現わし、鳥や虫に自在に変身、魔法を使って両親を驚かせ、やがて魔物の故郷目指して旅に出る……。
大正15年に刊行された、武井童話の復刊。
文字づかいは変えてあるが、挿絵は当時のまま。
まったく古さを感じさせないモダンな線描。
武井は、自らを「ラムラム王の生まれ変わり」と周りの人に言っていたらしい。
童話の添え物として軽んじられてきた挿絵を「童画」と命名。
児童雑誌の挿絵、額縁画、版画、図案(デザイン)、おもちゃの研究・創作など
多岐多彩な分野で偉才を発揮した武井武雄。
ひらたくいえば、「おしゃれな絵本作ったおじさん」
恥ずかしながら、私の認識はそのレベルだった。
武井の出身地である岡谷の
イルフ童画館で教えてもらった
小さな展覧会に足を運んで、
衝撃の出会い。
イルフとは?
古い(フルイ)の反対で新しいという意味の武井による造語。